食べちゃうよ。





「ちーちゃん」




諒君があたしを呼ぶ。

その顔を見ると、間近で視線がぶつかって、胸が甘くきゅんと音を立てる。




あー、諒君、本当に綺麗な顔だなぁ。

大きな瞳。

まつ毛も長い。

肌も男性なのに透き通っていて。

女性のあたしだって負けてしまうよ。




思わず諒君に見惚れていた。







「ちーちゃんっ!」




再び諒君があたしを呼び、顔をくしゃっとさせる。

いたずらそうなその笑顔。

胸が熱くなって、抱きつきそうになる。




なのに……





「ちーちゃん、可愛い」




諒君は目を細めたまま、あたしの唇を指でなぞる。

あたしの身体を激震が走り、あたしは身を捩らせた。



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