食べちゃうよ。






再び諒君はあたしに顔を近付け……

あたしは身を強張らせる。




ドキドキドキドキ……



心臓はやたら速い。





だけど……





諒君はおでこを、こつんとあたしのおでこにぶつけた。

いちいちびくんと反応してしまうあたし。

おでこを付けたまま、諒君はあたしを上目遣いで見た。





「ちーちゃんが悪いんだからね」



「え……」



「ちーちゃんが俺をその気にさせたんだから」




あの……悪いけど、酔っていて全く記憶がありません!

だけど、そんなこと諒君にとってはどうでもいいようで。




「もう、我慢しないからね」




諒君は顔をずらし、耳元で囁く。

甘い吐息が耳にかかり、やっぱり身体の力が抜けてしまう諒君。

そのまま諒君は耳をかぷりと噛んで……




「ひぃぃぃぃ」




あたしは変な声を出して、身体を震わせていた。






油断していた。

諒君はうさぎなんかじゃない。

うさぎの皮を被った狼だ。





< 32 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop