食べちゃうよ。
再び諒君はあたしに顔を近付け……
あたしは身を強張らせる。
ドキドキドキドキ……
心臓はやたら速い。
だけど……
諒君はおでこを、こつんとあたしのおでこにぶつけた。
いちいちびくんと反応してしまうあたし。
おでこを付けたまま、諒君はあたしを上目遣いで見た。
「ちーちゃんが悪いんだからね」
「え……」
「ちーちゃんが俺をその気にさせたんだから」
あの……悪いけど、酔っていて全く記憶がありません!
だけど、そんなこと諒君にとってはどうでもいいようで。
「もう、我慢しないからね」
諒君は顔をずらし、耳元で囁く。
甘い吐息が耳にかかり、やっぱり身体の力が抜けてしまう諒君。
そのまま諒君は耳をかぷりと噛んで……
「ひぃぃぃぃ」
あたしは変な声を出して、身体を震わせていた。
油断していた。
諒君はうさぎなんかじゃない。
うさぎの皮を被った狼だ。