食べちゃうよ。
諒君は苦い顔をしたまま、あたしの手をぎゅっと握る。
不意にぎゅっとされたあたしは、やっぱりパニックを起こして硬直する。
そして、お決まりのように鼓動だけが響く。
「それにね、ちーちゃん」
諒君はそう言って、あたしの耳に口を近付けた。
吐息がかかり、身体を震わせるあたし。
もう、駄目。
何もされていないのに、あたしの体、酔っぱらったみたいになっちゃう。
諒君の行動一つ一つにドキドキして狂わされる。
諒君はあたしの耳に口を近付けたまま、囁くようにこう言った。
「そんなに胸元開いてると、我慢出来なくなっちゃうよ?」
「!?」
あたしは言葉を失い、とうとうその場で飛び上がる。
きっと、三十センチ……いや、一メートルは飛び上がった気分だ。
あたしの馬鹿!
なにいちいち反応してるの?
「ふふ。ちーちゃんって純粋だね」
諒君は超余裕でそんなことを言って。
余裕がないのはもちろんあたしだけで。
あたしは完全に諒君に弄ばれている。
この前の朝チュンした時から分かっていたけど、やっぱり諒君のほうがずっと上手(うわて)。
あたしがどれだけ背伸びしても、諒君には敵わないのかもしれない。
「ちーちゃん、可愛いから襲っちゃうよ?」
その言葉に、あたしは身も心も焦がされた。