食べちゃうよ。
夕方……
あたしは、バイト先の居酒屋にいた。
お洒落で完全個室のこの居酒屋は、大学生やOLに人気で。
金曜日の今日は、すでにたくさんの客で埋まっていた。
「いらっしゃいませ」
店内にスタッフの声が響き渡る。
あたしも注文を取ったり、料理を運んだり。
忙しく動いているこの時間だけは、少しだけ諒君のことを忘れられる気がした。
「川島さん。
B2席の注文、取ってきて」
先輩に言われ、
「はいっ」
ハンディを手に、個室の扉を開ける。
そして、
「いらっしゃいませ。
ご注文をお伺いします」
そう言った時……
「千草?」
懐かしい声が聞こえた。