食べちゃうよ。






そそくさと注文を取って、そそくさと部屋を出た。

もう直斗のところには行きたくない。

先輩に理由を話して、配置を変えてもらおうと思った。




相変わらず鼓動は速い。

そして、体がガクガク震える。

今日は散々な日だな。

諒君の元カノにも会うし、直斗にも会うし。

そう思ってため息をついた時だった。








「千草」




不意に名前を呼ばれ、ビクッと飛び上がる。

そして、恐る恐る振り返った。




あたしは今、薄暗くて人気のない廊下にいて。

その、ムードのあるぼんやりとしたライトが照らす先には、なんと直斗がいたのだ。





なんで?

もうあたしたち他人なのに、なんで追いかけてきたの?



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