食べちゃうよ。
平静を装って振り返るあたし。
あたしの視線の向こうには、大好きな諒君が立っていた。
紺色に、白い模様の入ったシャツに、ベージュのパンツ。
少し落ち着いたその服装に、ほんのり茶色がかったふわっとした髪。
あぁ、あの女子の声、諒君の家ではなかったんだ。
諒君はこうやって、あたしと向き合ってくれているんだ。
そう思うと嬉しくて。
諒君はあたしのだからとしがみつきたい衝動に駆られる。
それでも、
「どうしたの?」
いつものように振る舞うあたし。
こんなあたしを見て、
「ちょっとちーちゃんが心配で」
諒君はそう言って、あたしの肩に手を伸ばす。
諒君の男らしい手が触れて、ビクッとなる。
肩に触れられただけなのに、体の力が抜けて倒れてしまいそう。
あぁ、あたし、こんなに諒君に酔ってるんだ。
諒君は耳元で優しく言う。
「とりあえず、俺の部屋行こう」