食べちゃうよ。
諒君は二股なんてしない……
あたしは確かにそう告げた。
だけど、心の中は違ったんだ。
ずっとずっと心配していた。
諒君はパソコンを閉じ、ジュースのグラスを持つあたしの手を、そっと包む。
温かくて大きい手。
その手に包まれると、心配事も薄れてくる。
「辛い経験したら、なかなか人を信じられないよね」
諒君は壊れそうな顔であたしを見る。
そんな諒君を見て、ドキッとした。
沙織……ーー。
諒君も沙織に浮気されていたんだ。
沙織は諒君が気付いていないと思っていたけど、諒君は気付いていたのかな。
どっちにしても、こんな顔の諒君、あたしは見たくない。