食べちゃうよ。
慌てて飛び起き、諒君から離れた。
そして荷物を纏め、家に帰ろうとする。
だが……
「んー……ちーちゃん……」
諒君が目をこすり、ベッドサイドに立っていたあたしの手を握る。
ドキッとして、そして胸がきゅんといって。
あたしは鞄をかけて立ったまま、諒君を見下ろした。
眠そうに開かれたぼんやりとした瞳。
少し寝癖がついている。
何だか可愛い。
だけど……
鏡に映るあたしを見て、さらに青ざめた。
メイクをしたまま寝てしまったあたしの顔は、お化けみたいで。
アイメイクが滲んで目の周りが黒くなっている。
そして、頬からは油が滲んでいて。
……最悪だ、こんな顔、諒君に見られるの!