食べちゃうよ。




諒君は少し気まずそうに頭に手を当てて言った。




「ちーちゃんが可愛すぎて、本能的に食べそうになった」




本能的に食べそうになった!?

その言い方にどきりとする。

綾香は諒君をうさぎなんて言っていたけど、うさぎなんかじゃない。

やっぱり肉食獣なんだ!





「あー、でもモヤモヤするね、こうやって遮られると」




よかった、あたしもすごくモヤモヤしていたんだ。

こんなあたしも、肉食獣?




「今度こそちゃんとするよ?

もう俺、うずうずしてるんだから」



「え?」



「はやくちーちゃんを食べたいなって」



「!!!?」




あたしは言葉を失って、優しくも危険な獣を見ていた。




あぁ、あたしの心はすでに諒君に食べられている。

あれ?

身体も食べられたんだっけ。

諒君、もう、信じる信じないのレベルじゃないよ?

あたしは完全に諒君のものだから。

後にはもう引けないんだから。

だから諒君も、あたしだけを見ていてね。



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