夏恋
はあ…櫂、帰っちゃったな。
今日、初めて出会って、呼び捨てして、
なんかすっごく親しんだな。
やっぱり都会の人ってこういうの慣れてるのかな?
夕闇迫る帰り道。
1人防波堤に沿った道を行く。
今日はお母さん帰ってくるの遅いから早く帰ってご飯作らないと…!
私は早歩きで家に帰った。
「ただいまー」
「おかえりー。夕飯、適当に作っといたよ」
あ、兄ちゃん。
兄の 洸太郎(コウタロウ)は大学二年生。大学二年生の友達曰く、洸ちゃんはモテるらしい。
確かに一緒にいたら楽しいけど、喧嘩したらすっごくウザい。私のことを見下してくるしウザい。
彼女がいるらしいんだけど未だに見たことがない。
「洸兄ありがとー。」
夕飯を作らなくてもよかった。
洸兄たまに良いことしてくれる。
「ほーらー!柑奈ー夕飯ー。」
「うんー!!」
妹の柑奈(カンナ)は中学三年生。そろそろ行きたい高校を決めて勉強に励もうと頑張る頃だが、柑菜は相変わらずぐーたらしてる。
柑奈が言うに、隣町の高校に行くとのこと。
彼氏についていくらしい。
3人で食卓を囲む。
「「いただきまーす」」
今日は鮭のムニエル。洸兄の手料理、食べるの久しぶりだなー。
「んー!うまい!さすが洸にぃ、サイコー‼︎」
柑奈らしい素直な感想だった。
「まーな。アオはどう?俺のムニエル。」
上達したなあ。洸兄。
「…おいしいよ!さすが洸兄!」
洸兄はニカッと笑った。