夏恋
3人の見事なチームプレイで宿題はすんなりと終わった。
「ありがとう〜」
まあ、古文だし割と簡単だった。
「ほらー席着けーー。」
先生が来た。
「起立〜、礼〜」
今日もみんなだるそうです。
空を見ながら考えごとをしてたら
HRがあっという間に終わった。
1時間目は英語かー。
ふと窓を見る。
はるか遠くにかすかにビルが立ち並んでいるのが見えた。
近いようで遠いよなあ…。
なんて考えてたら誰かに肩をトントンされた。
「ん?」
私は振り返る。
「ねえ、シャーペン忘れてきちゃってさ、、貸してくれない?」
この人は隣の席の相沢くん。
サッカー部の爽やかキャプテンで席替えした時はクラスの女の子たちに羨ましがられたほどの人気っぷり。
授業中に相沢くんが発表するたびに周りの女子の視線がこっち側に集中してくるから授業に集中できない時もある。
まあ、誰も私なんか見てないと思うけど
「日下さん?」
「あぁ!ごめんごめん!ちょっと女の子っぽいやつだけどいい?」
私は筆箱の中から淡いドットピンクのシャーペンを取り出した。
「全然大丈夫!ないよりマシだし!さんきゅ!」
相沢くんの笑みはどこかの国の王子さまって感じの笑みだなあ…
そう思ってたらなぜか櫂の顔が思い浮かんだ。
ニコッと私に微笑んでくれる櫂。
あれ?私、何を考えてるのっっ⁈
私は思い浮かんだ櫂の笑顔を掻き消すように英語の教科書で頭を叩いた。