夏恋
さっきまで向こうの山の少し上にあった太陽が今は半分くらい山の向こうに消えている。
空はスカイブルーからオレンジ色に変わっていた。
「櫂!今ならすごくいい写真が撮れるよ!」
私はとっさに櫂に呼びかけた。
櫂はカメラを持って準備していた。
…カシャ。
櫂が写真を撮る姿、初めて見た。
すごく横顔が綺麗。
角度を変えて何度も何度も写真を撮る。
櫂は夢中になったら止まらない子なんだなって思わせてくれた日だった。
私は夢中に写真を撮り続ける櫂をしばらく放っておいて、町を眺めることにした
手すりにつかまりながら空を見る。
…パシャ。
なんか、私の近くでフラッシュ音が聞こえた。
慌てて振り返ると彼はまだ写真を撮っていた。
…気のせいかな?
色々考えていたら櫂がやって来た。
「そろそろ、下りようか。」