夏恋
櫂が切符を買い終えるのを待ち、駅の中のベンチに2人で腰掛ける。
「ねえねえ!さっき撮った写真、見せてよ!」
櫂は少し悩んでいたがOKしてくれた。
「いーよ。今日は青羽のおかげで素敵な場所を見つけることができたし」
と言って櫂は私に高価そうなあのカメラを見せてくる。
「わっ…」
肉眼で見るのもいいけど、やっぱり。やっぱり櫂の写真の中の景色は肉眼とは少し違う。
なんだろう…色が少し鮮やか。
櫂は1枚1枚写真を見せてくれた。
「そして、今日のベストショットはこれかな」
と言って櫂は写真を私に見せた。
カメラの画面に写っているのは町の景色と夕焼けと自然と…そして私だった。
あ!これ、私が町を眺めてたときの…!
あのフラッシュ音はやっぱり櫂だったんだ!
「結構綺麗に撮れてると思わねー?」
櫂はにかっと笑った。
その時、駅のスピーカーから発着音が鳴った。