夏恋
へ?誰?
振り向くと、隣の自販機で飲み物を買ったと思われる男の人が。
「あー。なんか当たり出たしあげる。」
と言って缶のジュースを渡される。
あ、これ、私の好きなミカンジュース。
キンキンに冷えてて手が冷たい。
「あっ、ありがとうございます!」
突然の出来事に驚く。
「いや、いーよ。そこの高校の人?でしょ?」
「あ、はい。」
あ、なんでわかるんだろ…ってかここらへんの学校ってウチしかないから当たり前か。
にしても、この人見たことないなあ。
田舎なので大体の人は挨拶をしたりで顔を覚えてるし…
「ここらへんに旅行かなんかで来たんですか?」
って、見ず知らずの人に質問するのもおかしいよね。
「や、写真撮りに来たの。俺、隣町の高校生」
あ、そうなんだ。
隣町は都会で、電車とか駅とか複雑だから友達とお出かけするとかでしか訪れてない。