悪魔野郎と天使くん
「瞬くん、授業始まっちゃう…」
「今日だけ許して?」
「うん…」
二人でこっそり抜け出した学校。
だけどそれを、吉田くんは見逃さなかった。
第五章 初のおサボり
「ここのカフェ寄ってもい?」
「あ、でもあたしお財布鞄の中に…」
教室に忘れた…
「いいよそんなの。来て」
瞬くんはそう言って微笑んだ。
瞬くん…。
「今日は天気いいね」
「そうだね」
瞬くんはあたしの分まで頼んでくれた。
「瞬くんごめんね、今度はあたしがお礼するから」
「謝らないでよ。お金のお礼はいらないけど、緑ちゃんから誘ってくれるなら嬉しいよ」
「そんな…」
すると
RRRRRRR〜♪
「ごめん、電話だ…」
誰だろ。
あたしは携帯の画面を見た。
えっ!吉田くん!?
なんでなんで!?
今は授業中のはず…。
「もしかして、緑…?」
「えっ…うん…」
「…だったら出ることないよ」
「え?」
「今は僕なんだから」
「…うん、」
あたしは電話に出ないでそのまま制服のポケットにしまった。