悪魔野郎と天使くん
side 結城 緑


「あの、今日はありがとう」


瞬くんはわざわざ吉田くんのお家まで送ってくれた。


「ううん、緑ちゃんと色々回れて楽しかったよ」


「そっか。瞬くんのお家ここからどのくらい?」


「五分も掛からないよ」


「そっか。じゃあ、気をつけてね」


「また明日」


瞬くんの背中を見送った後、あたしは吉田くんのお家を訪れた。


「吉田くんー?」


あたしはドアを開けて中に入る。


昨日も思ったんだけど吉田くんって、両親いないのかな?


でもこんな大きなお家ひとりではさすがに住めないはず…。


なんて考えていたら


「てめぇ…」


「ひゃっ!!!」


い、いたんですか!!


あたしは思わず飛び跳ねる。


「おせんだよ!」


「…ごめんなさい…」


「メールしたよな?」


メール?


「見てない…」


「…瞬となにしてた」


「別に吉田くんには関係ないでしょ?」


すると吉田くんは激しく壁を叩いた。


「な、なに…」


「お前。そんな口聞くようになったか」


「…」


「サボったこと、ばらすぞ?」


「…別にいいし。真実だもん」


どうせ明日は怒られるんだから。


「どうなっても知らねーからな」


「…」


「さっさ入れ。片付けろ」


「うん…」


なんでだか、吉田くんの過去は聞けない気がした。

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