悪魔野郎と天使くん
吉田くんは何事も無かったかのように歩いて行く。
「…吉田くん!」
あたしの声が廊下に響く。
「…あ?」
吉田くんはあたしの方に振り向く。
あたしは吉田くんの方に走った。
「なんで…」
「…別に」
「別にって、」
昨日は知らないって言ってたじゃん。
「ただ通っただけだ」
そう言って吉田くんは再び歩いた。
少しづつだけど、吉田くんの事が分かってきたのかもしれない。
ただ通っただけって、笑わせないでよね。
あたしは吉田くんの隣で一緒に歩いた。