悪魔野郎と天使くん
「ちょっと待って緑!」
あたしは滑り台に向かって走っていたら転んでしまったのだ。
「みど…」
「おまえ…大丈夫か?」
「え?」
そう言ってあたしに手を差し伸べてきた少年。
すごくかっこよかったのを覚えている。
「あ、ありがとう…」
お母さんはなぜか笑ってあたし達を見ていた。
「気をつけろよ?」
「う、ん」
「それからおまえ、緑って言うのか?」
「…うん?」
突然訳の分からないことを言ってきた。
「じゃあな、」
その少年とはそれっきり一度も会うことは無かった。