悪魔野郎と天使くん


目の前には半田先生。


相変わらず可愛くて綺麗で、


男子生徒からはすごく大人気。


「緑ちゃん、って呼んでもい?」


「あ、はい…」


「緑ちゃんさ、昨日本当は瞬ちゃんと一緒にいたんでしょ」


「え…」


しゅ、瞬ちゃん??


「私ね、緑と瞬ちゃんの昔からの知り合いなの」


「それは瞬くんに聞きました…」


「そうなんだ。私は中学の時にバスケのマネージャーをしてたんだけどね、その時に二人に会ったの」


「はい…」


「緑も瞬ちゃんも、とっても優れたプレイヤーでね、二人ともプロに行けるんじゃないかってほどだった」


「…」


「だけどある試合で緑が大怪我をしたの。それからはもう、バスケが出来なくなって…」


「…」


そこまでは聞いた話だった。


いきなりなんの話だろって思ったけど、あたし個人的にも興味があった。


「そんな中瞬ちゃんはバスケを続けた。だけどなかなか前のようには行かなくて…緑がいた時とは違う…あのふたりは一緒にいないとだめなの」


「…」


「結果を出せない瞬ちゃんもバスケを辞めた。緑はバスケを憎んでる。だから…」


「…」


「あのふたりをバラバラにさせないでくれないかな?」


「え?」


「ふたりはずっと一緒に生きてきたの。それなのに今は緑ちゃんが二人の間に入ってる。止めてくれない?」


「あの、あたしは別に…」


「止めないんだったら、私が邪魔するから」


「…」


「私ね、ずっと緑が好きだったの」


「…」


「だけどちっとも振り向いてすらくれなかった」


「…」


何も言えなかった。


「だけど瞬ちゃんは私のことが好きだって言ってくれわれた。でもね、私は緑が良かったの」


「…」


「だから緑ちゃんは、もしもどちらかを好きになったとしても気持ちは伝えないでね。どっちかを選ぶなんて、二人を引き離すと変わりないんだから」


「あの、なにか勘違いされてるんじゃ…」


「とにかくそう先に言っておくから緑ちゃん?」





「…失礼しました」


「あ、緑ちゃんそれから…」


…。


あたしはその後職員室を後にした。

< 43 / 86 >

この作品をシェア

pagetop