悪魔野郎と天使くん
side 速水 瞬
朝から緑ちゃんが見当たらない。
僕と朝一緒に来たはずなのに。
「ねぇ君」
「…どうかしました?」
僕は、緑ちゃんといつもよく喋る名前も知らない女の子に声をかけた。
「緑ちゃんなんだけど、どこに行ったか知らない?」
「あ、緑なら…私が今日、吉田くんは熱を出して休みなんだってって言ったら走ってどっかに行っちゃったけど…」
「緑…」
だとしたら緑ちゃんは…。
僕は走って学校を出た。
ずっと気づいていない訳じゃなかった。
だって席は僕の斜め前だから。
だけどその内帰ってくるんじゃないかって安心してた。
でも昼休みまでにも帰って来なかったからさすがに心配になった。
それがまさか緑の家にいるんじゃないかって。
なんでもっと早く気づかなかったんだろう。