悪魔野郎と天使くん
「釣り合ってないってそんなふうには皆見てなかったと思うよ?」
「え?」
「速水くんと一緒にいたって周りの女子は緑になにひとつ言ってこないじゃん」
「うん…」
そういえば、恋人ごっこをしてからは何も言われなくなった。
「それは多分、ふたりが羨ましいんだけど、でも速水くんがそうさせてなかったんじゃない?」
「え?」
「緑に変な事言ったりすると、速水くんほっとかなさそうだし。そしたら速水くんはその女子に二度と話さなくなるし、嫌いになるって分かってるから何も言わなかったんだよ」
「うーん?」
よく意味が分からない…。
「まあ簡単に言うと、緑は速水くんに守られてたってこと」
「…」
「それは形じゃな無くてさ」
あたしにはそういう難しいの、分からない。
だけど瞬くんがあたしの隣にいてくれたのは、良かったってことなんだよね。
そんな瞬くんにあたしは感謝しなくちゃいけないんだ。
どこまでも頭が回ってる瞬くん。
いつでも優しい瞬くん。
ううん、優しさばかりじゃない。
瞬くんは思いやりのある人なんだと。
「愛華ちゃん、ありがとう」
「私は何もしてないよ」
「ううん、少し分かった気がしたから」
愛華ちゃんがあたしの親友で良かったと改めて思った。