悪魔野郎と天使くん
そして今日も、一日が始まる。
「おい」
「吉田くん?」
「数学のノート見せろ」
「いいけど、毎回毎回寝てるの?」
「教えるやつ変わってからこっちは迷惑してんだよ。な?瞬」
吉田くんはそう言って瞬くんに回す。
「僕?」
「お前あれだろ、親父校長なんだから。びしっと言ってやれ」
「いや、僕はあまり父さんと話さないから」
「この機会にいいじゃん」
「なんでそうなるの。緑がただ数学のノート書けばいいだけの問題じゃん」
「別に」
このふたりを見てると笑える。
「何笑ってんだよ」
そう言ってあたしのほっぺを抓る吉田くん。
「いだいー」
「知るか」
「離してよー吉田くん」
「吉田くんじゃねぇ。緑って言えって前言ったよな?」
「だからそれはあたしが自分の名前を自分で言ってるみたいで…」
「あ?なんて?」
吉田くん…怖いです。
「分かったよー」
そう言うと吉田くん…じゃなく緑は手を離してくれた。
「てことだから記念日として今日の日直手伝え」
「えっ!?」
どこまでこの方は悪魔なんですか。
「いいな?先に帰ったりなんかしたら…」
「殺す」
「…」
「でしょ?」
「…分かってんじゃん」
そう言って吉田くん…緑は少しだけ笑った。