悪魔野郎と天使くん
「女子の注目の的って感じね。入学初日なのに」
行き交う人があの天使の優しい男の子を見ているんだ。
「名前聞いとけば良かったなぁ…」
なんて少し後悔。
「え?速水瞬?」
「あ、あの人速水くんって言うの?」
「多分。さっき出席取ってたし」
「そっかー、名前までかっこいいなんて」
「緑ってば。緑は速水くん狙ってるの?」
「ね、狙ってるなんて…無理無理あたしなんかが」
あたしはせいぜいあの俺様男の下っ端役って感じ。
あの天使の優しい男の子までは程遠い…。
「そっかぁー」
愛華ちゃんは曖昧にそう言った。