隣ん家のアイドル
「そうじゃないんだ。俺、わかってるんだ。今の俺がいるのは全部、朱鳥のおかげなんだってこと!」


「え?」


私は急にそんな事を言い出す玲央都に驚いた。


「小さいとき、朱鳥が俺にアイドルのオーディションすすめてくれた!俺が有名になったら嬉しいからって言って!だから俺アイドルになったんだ!」



確かに言ったことはあった。でもそんなこと聞くの初めてだった。


「なのに、朱鳥から逃げてごめん!」


逃げてた?そっか。玲央都は私から逃げてんだ。

でも、玲央都はどんどん驚く事を言ってくる。


「俺、朱鳥といると、素の自分になれるのがこわかった!れおぴじゃない、矢野玲央都になる自分がこわかった!戻れなくなるかもって!でももうそれでもいいと思った!」


玲央都の声がどんどん大きくなる。


「玲央都…みんなに聞こえちゃうよ…?」


熱くなった玲央都には私の声は届かなかった。


「だから俺、もう朱鳥から逃げないから!」
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