203号室で暮らそう
セロリ、ピッ。
 
コンビーフ、ピッ。
 
サンマ、ピッ。
 
いつもどおりにレジスキャンをして、いつもどおりに接客しているつもりだったのに。
 
今日はなんだか、お客にかけられる言葉が、いつもどおりではない。
 
おばちゃんって、思ったことをすぐ口にするから、というのは前々からこの仕事を通して感じていたことだった。
 
だから、こんなにも今日は苦言を呈されるということは、本当に珍しいことであって、実際に私は愛想がない、粗雑な接客をしているということなんだろう。
 
私、全然自覚ないんだけど――。
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