203号室で暮らそう
☆
あ、ぶどうジュースだ。
あるお客さんの、買い物カゴの中身を見て、ちらっと思った。
私が好きだった、ぶどうジュース。
いつだったか、雄輔がこのスーパーに来て、私にこれを差し入れしてくれたことがあったっけ。
大事にとっておこうと思ったんだけど、部屋に無造作に置いておいたら、陽景くんが飲んでしまった。
私、その時そんなにショックじゃなかった。
雄輔がくれたぶどうジュース。
陽景くんが、きっと、その時に。
私の雄輔への思いを、一緒に飲み干してくれたんだ――。
あ、ぶどうジュースだ。
あるお客さんの、買い物カゴの中身を見て、ちらっと思った。
私が好きだった、ぶどうジュース。
いつだったか、雄輔がこのスーパーに来て、私にこれを差し入れしてくれたことがあったっけ。
大事にとっておこうと思ったんだけど、部屋に無造作に置いておいたら、陽景くんが飲んでしまった。
私、その時そんなにショックじゃなかった。
雄輔がくれたぶどうジュース。
陽景くんが、きっと、その時に。
私の雄輔への思いを、一緒に飲み干してくれたんだ――。