203号室で暮らそう
ふわりとあたまを撫でられた。声からすると、飲兵衛でもシラフの柚実だった。
 
私はそれに気づいて、膝に顔をうずめたまま言った。

「陽景くんが、好きなのー。でも、もう会えないのー」

「やっぱり好きなのね。彼のこと。私たちから見たら、陽景くんと木綿花、とうにつきあってるように見えたけどな。でも、何で会えないの?」

「だって……。私たち、ほんとになんの関係もなかったもの。連絡先だって、知らないもん」

「知ってるよ、私」

「え?」
< 183 / 219 >

この作品をシェア

pagetop