203号室で暮らそう
こころにまで、染みていく。
 
優しくて懐かしい声。
 
懐かしくて、あたたかくて、また、泣けてくる――。

『ご家族大変なんだって?』

「うん。でも、大丈夫。なんとかやってる」

『大丈夫か? 無理してないか?』
 
いつでも、私のことを心配してくれる、陽景くんは相変わらずだった。

「うん――ヒック」
 
涙が、とめどなく溢れ出していた。
 
どさくさに紛れて、茶髪の男の子が、私のあたまを抱えるようにして抱きしめてくる。
 
そんなの、気にしてる場合じゃなかった。
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