203号室で暮らそう
第6章
次の日の夕方。
 
柚実、――女神様に、笑顔で送り出された。
 
街の中心部から、地下鉄で2駅先の梅木駅の改札へと、私は向かった。
 
電車の中では、ドキドキして、寒さに震える子猫のように、全身が打ち震えていた。
 
身体に力が入らない。
 
だけど、気力で自分を保っていた。
 
駅へ着き、電車のドアが開くとともに、早足で改札口へと向かった。
 
まるで、何かに吸い寄せられるように、自分の力じゃないような感覚で階段をすいすいと駆け上った。
 
陽景くん。
 
陽景くん。
 
陽景くん……。
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