203号室で暮らそう
陽景くんのことを好きだけど、だけれど。
 
御曹司の彼とつきあうとか一緒になるとか、自営業の商店の店の娘に生まれた私なんかがつりあうわけがない……そう何度も考えた、けれど。
 
陽景くんの正体を知りえないでも、私たちはうまくやっていた。
 
私は、陽景くんが好きだった。
 
その気持ちは、決して変わらない。
 
公園で寝そべっていた彼も、口を利かないまま、居候していた彼も、やっと笑うようになって、その実明るい性格だと知った彼も。 
 
総て、私にとっては愛すべき存在だ。
 
だから、きっとうまくやっていける。
 
そんな風に、思いを変えていけるようになったんだ。
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