203号室で暮らそう
――かくして。
 
私と陽景くんは、数奇な出会いから、婚約者にまで発展してしまった。
 
一緒に住めるのは嬉しいんだけど……本当にここで、いいの?

「ゆーか?」
 
以前より広くなったベッドの上に座り、私は夜空を眺めていた。

「陽景くん、見て。三日月。まるでウインクしてるみたい」
 
闇夜に大きく浮かんでいる月は綺麗に下弦を縁取っていて、まるで空が片目をつぶっているみたいだった。

「Good Luckって言ってるんじゃないかな」

「うふふ、そうだね」

「やっぱりこの部屋から見る夜空は、綺麗だね。初めて星を綺麗だって思えた部屋だもん」

「うん――」
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