203号室で暮らそう
漠然とした彼の質問。

「う、うん」

『メシ、食ったか?』

「うん。ハンバーグ……」

『相変わらず、自炊してんだな』
 
雄輔ってば、どうしたんだろう。
 
この期に及んで、電話をかけてくるだなんて。
 
雄輔――井上雄輔は、私の元カレ。
 
教職の講義で仲良くなり、いつしか友だちから恋人へとなったひとだけれど、他に好きなひとができたと告げられ、私たちの恋仲はたった8ヶ月で終わってしまった。
 
私にとっては、人生初めての彼氏だったから、目一杯愛したし、目一杯苦しんだ。
 
今でも忘れられないひと。
< 69 / 219 >

この作品をシェア

pagetop