203号室で暮らそう
お皿洗いが終わったのか、陽景くんは濡れた手をパッパッと振って水切りしながらやってきた。
 
ああ、もう、ちゃんと布巾で手ぇ拭いてから来いってば……。

「いや、なんでもない」
 
雄輔のことで、昼間は泣いたくせに。
 
今は笑みがこぼれてしまう、なんて。
 
複雑な乙女ゴコロ――。
 
私の携帯も、久しぶりに彼の声を聞いて、喜び懐かしんでいるように見えた。
 
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