203号室で暮らそう
第3章
学校が始まって、一週間。
 
陽景くんは毎日学校へついてきた。
 
私の横に座って、適当にノートをとったり、柚実たちと雑談したり。
 
もうすっかり、この大学の学生みたいだった。
 
今日も1コマの教育原理の講義を一緒に受けていた。
 
今日も来ているであろう、雄輔の視線を背中で少し感じつつも……って、あれ?

「陽景くんって、左利きだったっけ?」
 
ふと目に入った、サカサカとノートの上を踊る、キレイな文字を綴る彼の手は、左手だった。

「ん? ああ、いや、両利き。右でも左でも、同じくらいのレベルで、字、書ける」

「へえ、両利き、便利そうね」
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