203号室で暮らそう
陽景くんは得意気に方眉を上げてみせた。

「こんなこともできるよ」
 
すると彼は、シャープペンを両手に持ち、見開きのノートに、同時に“1946年 GHQ 民主教育”と全く同じ字面で書いてみせた。

「すごい。すごい特技だよ。それ、あははは」

「だろう?」
 
陽景くんって、面白い。変なひとー。
 
おまけに、不思議なひと。
 
未だにどこの誰かも解らない。
 
だけどその不思議なひとが、不思議と私を元気にしてくれているのは、確かだ。
 
私、このひとと出会ってから、よく笑うようになったと自分でも思う。
 
そして、陽景くんも――。
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