203号室で暮らそう


「あ、隣のレジが空きましたので、2番目にお並びの方、そちらへどうぞ――」
 
3番レジが空いたのを見て、私はお客に声をかけた。
 
戸田さんが休憩から帰ってきて、レジを開けたんだ。
 
戸田さんは、私のところに並んでいた、次のお客に“こちらへどうぞ”と笑顔で声がけする。

「あら、大丈夫よ。私、待ってるから」
 
と、丸顔のおばちゃんお客は、戸田さんの申し出を断った。

“レジ中止中”の立て札を外したから、戸田さんのところには他のお客さんが流れ込んできた。
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