203号室で暮らそう
すると、私のところの丸顔のおばちゃん客が、呟いた。

「私ね、――日浦さんの接客、すごく好きよ。だから、いつもあなたのところに並ぶようにしてるの」
 
私のエプロンの名札を見、そして私の顔を見て、にっこりと笑いかけてくれた。

「あら、私もそうよ。ここの店員さんはみんな愛想がいいけれど、日浦さんは特に笑顔が素敵よね」
 
と、今商品をスキャン中の買い主までも言ってくれた。

「……ありがとうございます」
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