203号室で暮らそう
「よお」

「なん……どうしたの?」

「いや、別に……」
 
照れたように私から視線をそらすと、彼は小銭をトレイに置いた。

「――丁度お預かりいたします。ありがとうございました――」
 
私は雄輔の幻でも見ているんじゃないかと思った。
 
ここのところ、何を思っているのか毎晩メールくれたりするけど、学校では話しかけてこない雄輔。
 
いつもメールの送信相手は、ほんとに雄輔なのかな、なんて夢見心地だったところだった。
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