203号室で暮らそう
だけど、今は本物の彼が、目の前にいる。
 
私に……会いにきてくれた、の?

「やる」

「え?」

「それ、差し入れ」
 
レジ台に置かれたままの、ぶどうジュースを顎で指して、雄輔はその場を立ち去ってしまった。
 
あ……。
 
私の好きなもの、覚えててくれたんだ――。
 
……おっと、浸ってる暇はなかった。
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