203号室で暮らそう
「あーっ!」
 
彼の姿を見て、思わず大声を上げてしまった。
 
彼の姿に、というか、彼の行為に。

「――ん? 何?」
 
彼は500mlのペットボトルのジュースを手にし、もうすでに飲み干していた。

「あ、ジュース? ごめん。のど乾いてたから、勝手に飲んじゃった」
 
その、陽景くんが手にしている、ぶどうジュース……雄輔から、差し入れでもらったものだったのに……。

「他のもの、買ってくるよ。今すぐ」
 
私の形相が相当なものだったんだろう。

「まあ、いいけどさ」
 
私はなぜだか、簡単に諦めることができた。
 
雄輔からもらったものなのに、な。
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