新天地へ
噛みつきたくなるくらい王子さま
扉が再び音もなく回転して閉まると、ふわっと浮いた感覚のあと、すぐにまた減速してすぐに扉が開いた。どうやら一階についたようだった。再びいろんな種族がぞろぞろと入ってくる。それでも中はまだまだ余裕があった。
再び扉が閉まる中、どうやらやってしまったようだなと思った。上へ行きたかったのに、これは下へと向かう宇宙船らしい。再びふわっと浮いた感覚と同時に、不安も一緒に沸き上がってきた。
さっきよりも少し長い間下降すると、ゆっくりと減速して扉が開いた。何人かが降りたので、わたしも便乗して降りた。
降りた先は青いカーペットが敷かれた一本の通路になっていて、その側は白い壁に囲まれてあたりを見回すことはできなかった。そして通路の途中に、またあの自動改札機があった。
宇宙船に乗らずにそのまま待っている人がいたので、わたしもその列に再び並んで上行きのが来るのをじっと待った。腕時計を見た。七時半だった。大丈夫大丈夫、まだまだ時間がある。
しばらくすると、壁が音もなく開いた。さっきは床にあった蒼い光の円が、今度は天井に描かれていた。
「これでわかるのか・・・。」
隣の切れ目の女の人にちらと見られた。あんまり独り言は言わないほうがいいらしい。久々に普通の女の人が隣にいると思ってさっきまで安心していたのに、こっちを向いた時にあのうねうねとした触手が生えているのを見て急に気持ち悪くなった。なんでだろう。人にすごく似てるから余計に気味が悪いのかな。それにしても、本能的に、生理的な不快を感じるのは自分でも不思議な反応だった。他に変わった種族はたくさんいるのに。
ただ、新天地には触手のない人間より触手のある方が圧倒的に多いのは確かなようだった。人間が一人くらいいてもいいと思うんだけど。
再び例のホールを一階、二階と渡りいよいよ上昇しだした。あの切れ目の人はホールの一階で降りていった。
最初に乗ったところへ戻ってくると、いよいよここからは知らない場所へ行くんだった。扉が閉まり、蒼い光にぼうっと包まれると、さっきとは比べられないほどの速さで上昇が始まった。
ぐぐぐと頭を抑えられながら、本当にどこで降りようか迷っていた。どこか適当なところで降りるべきなのか、それとも一番上まで行ってみるべきなのか。
だんだん上昇する速度が緩やかになり、完全に静止した後扉が開いた。
何人かが降りたもののほとんどはまだ乗っていた。「もう、こうなれば直感しかないな・・・。」と心の中で呟いた。
天井にある蒼い光の円はまだそのままだった。扉が閉まると、またものすごい加速をしてくれた。本当に宇宙に飛び立とうとしてるんじゃないかと思うほど重力がのしかかってくる。そして再び緩やかになり、扉が開いた。
急な加速、緩やかな減速、急な加速、緩やかな減速。胃袋の中に収まったホットドックが重力でもう一度咀嚼されて、本当に気持ちが悪い。恐ろしい勢いで上昇するくせに、何度も何度も扉は開き、そして相変わらず蒼い円は天井にあった。「どんだけ上に行くのよ・・・。」と心の中で愚痴をこぼした。実際にこぼすとホットドックまでこぼしそうだったので心の中だけで我慢した。
人はまだまだ中に乗っていて、扉が開くたびに少しずつこぼれていった。
ごくりと唾を飲み込んだ。ぐちゃぐちゃになったホットドックが上がったり下がったりぐるぐると回っている気がする。いよいよもう限界が来そうだと思った。一歩動けば中身が出そうだった。
その時また緩やかに静止して、扉が開いた。わたしは精一杯普通の表情を装いながら、新鮮な空気と安定した地面を求めて這い出した。
宇宙船を出てすぐに壁に手をつき、胃のむかむかが収まるのを待った。何人かがこちらを見ているような気がしたけれど、今はそれどころじゃなかった。
胸を抑えていると、
「大丈夫ですか?」
と声を掛けられた。振り返ると、背の高い男の人が立っていた。身長はわたしより断然高く、髪はほどよい金髪、肌は少し焼け、真っ白なきれいな歯を持っていた。何より触手がなく、顔立ちが整っていてかっこよかった。
「い、いえ、大丈夫です。なんでもないです。」
そう言ってその場を立ち去ろうとすると、またホットドックが胃袋から上がってきそうな気配がして壁に手をついて立ち止まってしまった。まずい、この人の前で吐きたくないとなぜか思った。
「気分が悪いんですか?一緒に医務室へ向かいましょう。」
と言いそのままするりと腰に手を回された。声が低く落ち着いていた。わたしの体はその腰に置かれた手に素直に従った。
さっき降りた場所とは違い、なにもかもが真っ白だった。通路も、壁も、白くつるつるしていた。
腰に手を回されながらパスポートを掲げ二人で自動改札機を通った。
よく見ると白衣を来ていて、医者なのかと最初は思ったけれど、なにか嗅いだことのない、薬品かなにかのにおいが鼻をかすめて、どうやら科学者かなにかの類だと感じた。
わたしは顔を上げて、この男の人の顔をまじまじと見つめた。どうやら本当に触手が生えていないようだった。その他の体の部分を見ても、変なところはなく、ここに来てはじめて見た、わたしと同じ人間のようだった。
「人間は初めてです?」
と言って他人向けの微笑みを浮かべた。それがとても、なんというか、人の心に刻みつけるような笑顔で、本当にかっこよく、そしてそれはあくまでもわたしはこの人にとって他人なんだと否応なしに気づかされる、哀しくそれでも嬉しいような、とても複雑な微笑だった。
「は、はい。い、いえ。わたしも、人間なので・・・。ただ、ここに来て初めてというか、あ、いや・・・。なんでも、ないです。」
なんだろう、これ。胸に手を当てると鼓動がとても速い。いまなにか聞かれたら、全部答えてしまいそう。でもなにか聞いて欲しい。全部さらけ出して答えたい。この人に認めてもらいたい、そういう想いが突然きゅうっと心を締めつけてきた。
腰に回した手に自然と体重を預けてしまう。心も体も、全てを預けてしまいたい。
ああ、恥ずかしい。こんな天空で、わたしはなにをやっているんだろう。そう思っていても、体の芯がぼうっとして、いまのこの瞬間が狂おしく幸せに、感じてしまう。
そっと横顔を覘きながら、押されるままについていった。どの道を通ったか、もうさっぱりわからず、それでも何の不安もなかった。
「はい、どうぞ。着きましたよ。」
そう言って押されるままに医務室へと入っていった。医務室は曲がりに曲がった細い通路の奥で、入り口には簡易的なソファが置いてあった。
中を伺うと真っ白なベッドが三つ、奥に向かって並んでいた。ベッドにも、この医務室にも、誰もいなかった。
それぞれのベッドの頭のほうには窓がついていて、そこから燦々と光が射し込みベッドに伸びていた。
とても静かだった。ここだけでなく、このフロア全てから音が排除されたように静けさに包まれていた。しんと横たわる真っ白で無垢なベッドがわたしを、わたしたちを呼んでいるようだった。わたしは振り返ってその人を見た。その人はわたしを見つめ返した。エメラルド色の瞳をしていた。
わたしたちはお互いを見つめ合ってこれからのことを合意しあった。
目線を切って背中を向け、ベッドの傍へ行き立ち止まった。鼓動がうるさい。後ろからゆっくりと近づいてきて、わたしの体のラインをゆっくりとなぞった。
体がしびれてはあと吐息が漏れた。こんなわたしがいたことが驚きだった。どこかに眠っていた強引なわたしが、じゃあ今からはわたしの番ねと無理矢理バトンタッチして出てきたようだった。この人に触られてたまらない気持ちでいっぱいだった。
後ろから抱きしめられて、わたしは思わず天井を見上げた。跳ね上がったわたしの無防備な首に頭を預けて囁いた。
「僕も驚いたよ。ここで人間を見たのは君が初めてだ。ねえ、いつきたんだい?」
わたしはどこから話そうか、どこから話せば楽しんで聞いてくれるかを考えた。
「ええっと・・・。」
ふと外を見やると、ひときわ大きい鳥が一匹、こんなにも高いところを悠々と飛んでいた。この鳥はどうやってここまで来れたんだろう。わたしはどうやって、ここまで来たんだろう。
小さな扉を掴んだ手をぱっと離して遠ざかっていく彼を思い出した。
腕時計を見た。八時すぎだった。
彼はこんなことのために手を離したの。振り返って瞳を見つめた。彼は不思議そうな顔をして遠くを見ていた。
「ごめんなさい。仕事に行かなくちゃ。体調はもう大丈夫。ありがとう。」
そう言って体を振り払って医務室から飛び出した。ああ、ばかばか。わたしの人生で一番輝いていた瞬間だったのに!なんで台無しにしてしまうかな。いま戻ってもまだ間に合う。追いかけてこられたら、そのときはもう、だめかもしれない。追いかけてきてほしい。でも逃げなきゃ。分裂した二つの気持ちに揺れながら、それでも走った。ざっとした方角くらいしかわからず、ひたすら通りを曲がった。
走りながら、工事現場で追われたのを思い出した。あの時のほうが楽しかったかな。いまは自分のせいで走ってるわけだから。
後ろを振り返っても誰もおらず、追いかけてはきていないようだった。それが嬉しいのか悲しいのか、ああ、結局遊ばれただけだったんだな、と心のどこかで思った。
あれ、この通路見たことある、と思って進むと、再びあの宇宙船のある空間に出た。
「やあ、待っていたよ。」
わたしは彼につかまった。
再び扉が閉まる中、どうやらやってしまったようだなと思った。上へ行きたかったのに、これは下へと向かう宇宙船らしい。再びふわっと浮いた感覚と同時に、不安も一緒に沸き上がってきた。
さっきよりも少し長い間下降すると、ゆっくりと減速して扉が開いた。何人かが降りたので、わたしも便乗して降りた。
降りた先は青いカーペットが敷かれた一本の通路になっていて、その側は白い壁に囲まれてあたりを見回すことはできなかった。そして通路の途中に、またあの自動改札機があった。
宇宙船に乗らずにそのまま待っている人がいたので、わたしもその列に再び並んで上行きのが来るのをじっと待った。腕時計を見た。七時半だった。大丈夫大丈夫、まだまだ時間がある。
しばらくすると、壁が音もなく開いた。さっきは床にあった蒼い光の円が、今度は天井に描かれていた。
「これでわかるのか・・・。」
隣の切れ目の女の人にちらと見られた。あんまり独り言は言わないほうがいいらしい。久々に普通の女の人が隣にいると思ってさっきまで安心していたのに、こっちを向いた時にあのうねうねとした触手が生えているのを見て急に気持ち悪くなった。なんでだろう。人にすごく似てるから余計に気味が悪いのかな。それにしても、本能的に、生理的な不快を感じるのは自分でも不思議な反応だった。他に変わった種族はたくさんいるのに。
ただ、新天地には触手のない人間より触手のある方が圧倒的に多いのは確かなようだった。人間が一人くらいいてもいいと思うんだけど。
再び例のホールを一階、二階と渡りいよいよ上昇しだした。あの切れ目の人はホールの一階で降りていった。
最初に乗ったところへ戻ってくると、いよいよここからは知らない場所へ行くんだった。扉が閉まり、蒼い光にぼうっと包まれると、さっきとは比べられないほどの速さで上昇が始まった。
ぐぐぐと頭を抑えられながら、本当にどこで降りようか迷っていた。どこか適当なところで降りるべきなのか、それとも一番上まで行ってみるべきなのか。
だんだん上昇する速度が緩やかになり、完全に静止した後扉が開いた。
何人かが降りたもののほとんどはまだ乗っていた。「もう、こうなれば直感しかないな・・・。」と心の中で呟いた。
天井にある蒼い光の円はまだそのままだった。扉が閉まると、またものすごい加速をしてくれた。本当に宇宙に飛び立とうとしてるんじゃないかと思うほど重力がのしかかってくる。そして再び緩やかになり、扉が開いた。
急な加速、緩やかな減速、急な加速、緩やかな減速。胃袋の中に収まったホットドックが重力でもう一度咀嚼されて、本当に気持ちが悪い。恐ろしい勢いで上昇するくせに、何度も何度も扉は開き、そして相変わらず蒼い円は天井にあった。「どんだけ上に行くのよ・・・。」と心の中で愚痴をこぼした。実際にこぼすとホットドックまでこぼしそうだったので心の中だけで我慢した。
人はまだまだ中に乗っていて、扉が開くたびに少しずつこぼれていった。
ごくりと唾を飲み込んだ。ぐちゃぐちゃになったホットドックが上がったり下がったりぐるぐると回っている気がする。いよいよもう限界が来そうだと思った。一歩動けば中身が出そうだった。
その時また緩やかに静止して、扉が開いた。わたしは精一杯普通の表情を装いながら、新鮮な空気と安定した地面を求めて這い出した。
宇宙船を出てすぐに壁に手をつき、胃のむかむかが収まるのを待った。何人かがこちらを見ているような気がしたけれど、今はそれどころじゃなかった。
胸を抑えていると、
「大丈夫ですか?」
と声を掛けられた。振り返ると、背の高い男の人が立っていた。身長はわたしより断然高く、髪はほどよい金髪、肌は少し焼け、真っ白なきれいな歯を持っていた。何より触手がなく、顔立ちが整っていてかっこよかった。
「い、いえ、大丈夫です。なんでもないです。」
そう言ってその場を立ち去ろうとすると、またホットドックが胃袋から上がってきそうな気配がして壁に手をついて立ち止まってしまった。まずい、この人の前で吐きたくないとなぜか思った。
「気分が悪いんですか?一緒に医務室へ向かいましょう。」
と言いそのままするりと腰に手を回された。声が低く落ち着いていた。わたしの体はその腰に置かれた手に素直に従った。
さっき降りた場所とは違い、なにもかもが真っ白だった。通路も、壁も、白くつるつるしていた。
腰に手を回されながらパスポートを掲げ二人で自動改札機を通った。
よく見ると白衣を来ていて、医者なのかと最初は思ったけれど、なにか嗅いだことのない、薬品かなにかのにおいが鼻をかすめて、どうやら科学者かなにかの類だと感じた。
わたしは顔を上げて、この男の人の顔をまじまじと見つめた。どうやら本当に触手が生えていないようだった。その他の体の部分を見ても、変なところはなく、ここに来てはじめて見た、わたしと同じ人間のようだった。
「人間は初めてです?」
と言って他人向けの微笑みを浮かべた。それがとても、なんというか、人の心に刻みつけるような笑顔で、本当にかっこよく、そしてそれはあくまでもわたしはこの人にとって他人なんだと否応なしに気づかされる、哀しくそれでも嬉しいような、とても複雑な微笑だった。
「は、はい。い、いえ。わたしも、人間なので・・・。ただ、ここに来て初めてというか、あ、いや・・・。なんでも、ないです。」
なんだろう、これ。胸に手を当てると鼓動がとても速い。いまなにか聞かれたら、全部答えてしまいそう。でもなにか聞いて欲しい。全部さらけ出して答えたい。この人に認めてもらいたい、そういう想いが突然きゅうっと心を締めつけてきた。
腰に回した手に自然と体重を預けてしまう。心も体も、全てを預けてしまいたい。
ああ、恥ずかしい。こんな天空で、わたしはなにをやっているんだろう。そう思っていても、体の芯がぼうっとして、いまのこの瞬間が狂おしく幸せに、感じてしまう。
そっと横顔を覘きながら、押されるままについていった。どの道を通ったか、もうさっぱりわからず、それでも何の不安もなかった。
「はい、どうぞ。着きましたよ。」
そう言って押されるままに医務室へと入っていった。医務室は曲がりに曲がった細い通路の奥で、入り口には簡易的なソファが置いてあった。
中を伺うと真っ白なベッドが三つ、奥に向かって並んでいた。ベッドにも、この医務室にも、誰もいなかった。
それぞれのベッドの頭のほうには窓がついていて、そこから燦々と光が射し込みベッドに伸びていた。
とても静かだった。ここだけでなく、このフロア全てから音が排除されたように静けさに包まれていた。しんと横たわる真っ白で無垢なベッドがわたしを、わたしたちを呼んでいるようだった。わたしは振り返ってその人を見た。その人はわたしを見つめ返した。エメラルド色の瞳をしていた。
わたしたちはお互いを見つめ合ってこれからのことを合意しあった。
目線を切って背中を向け、ベッドの傍へ行き立ち止まった。鼓動がうるさい。後ろからゆっくりと近づいてきて、わたしの体のラインをゆっくりとなぞった。
体がしびれてはあと吐息が漏れた。こんなわたしがいたことが驚きだった。どこかに眠っていた強引なわたしが、じゃあ今からはわたしの番ねと無理矢理バトンタッチして出てきたようだった。この人に触られてたまらない気持ちでいっぱいだった。
後ろから抱きしめられて、わたしは思わず天井を見上げた。跳ね上がったわたしの無防備な首に頭を預けて囁いた。
「僕も驚いたよ。ここで人間を見たのは君が初めてだ。ねえ、いつきたんだい?」
わたしはどこから話そうか、どこから話せば楽しんで聞いてくれるかを考えた。
「ええっと・・・。」
ふと外を見やると、ひときわ大きい鳥が一匹、こんなにも高いところを悠々と飛んでいた。この鳥はどうやってここまで来れたんだろう。わたしはどうやって、ここまで来たんだろう。
小さな扉を掴んだ手をぱっと離して遠ざかっていく彼を思い出した。
腕時計を見た。八時すぎだった。
彼はこんなことのために手を離したの。振り返って瞳を見つめた。彼は不思議そうな顔をして遠くを見ていた。
「ごめんなさい。仕事に行かなくちゃ。体調はもう大丈夫。ありがとう。」
そう言って体を振り払って医務室から飛び出した。ああ、ばかばか。わたしの人生で一番輝いていた瞬間だったのに!なんで台無しにしてしまうかな。いま戻ってもまだ間に合う。追いかけてこられたら、そのときはもう、だめかもしれない。追いかけてきてほしい。でも逃げなきゃ。分裂した二つの気持ちに揺れながら、それでも走った。ざっとした方角くらいしかわからず、ひたすら通りを曲がった。
走りながら、工事現場で追われたのを思い出した。あの時のほうが楽しかったかな。いまは自分のせいで走ってるわけだから。
後ろを振り返っても誰もおらず、追いかけてはきていないようだった。それが嬉しいのか悲しいのか、ああ、結局遊ばれただけだったんだな、と心のどこかで思った。
あれ、この通路見たことある、と思って進むと、再びあの宇宙船のある空間に出た。
「やあ、待っていたよ。」
わたしは彼につかまった。