パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
⑦最善の方法
カーテンを思い切り開け放つと、昇って間もない朝の太陽が容赦なく部屋に射し込んだ。
その眩しさに、私も一瞬だけ目を閉じる。
「部長! 起きてください!」
ベッドで布団にくるまれている部長の肩を強く揺する。
「……ん」
「部長ってば!」
思い切って毛布を引き剥がした。
「……一体何ごとだ」
寝ぼけ眼をこする部長。
「お弁当作ってきたんです。出掛けましょ」
「弁当……?」
ようやく開けてくれた瞼。
部長は大きく伸びをすると、ゆっくり起き上がった。
「出掛けるってどこへ?」
部長が眠そうに目をこする。
「あの海へ行きたいです」
「海?」
目を見開いて私を見る。
大きく頷いて、「部長が私を見つけてくれた海です」と笑って見せた。