パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
◇◇◇
それは今日のこと、日曜の昼下がりのことだった。
郊外の住宅街にある一軒家。
そこに、私は家族四人で住んでいる。
両親と、血の繋がらない三つ違いの兄、それから私だ。
両親は揃って外出。
兄であるあっくんとふたりで簡単に昼食を済ませ、コーヒーを飲みながらソファでくつろいでいたときのことだった。
「父さんも母さんもいないし、久しぶりにふたりで出掛けるか」
あっくんがソファで大きく伸びをひとつする。
読んでいた新聞を綺麗に折りたたむと、それをテーブルへと置いた。
「本当!?」
ひとり分のスペースを開けて隣に座っていた私は、思わずお尻を浮かせるほど喜んだ。
そんな私に、あっくんがその顔をくしゃっとさせて微笑む。
天気もいいし、あっくんとふたりで外出なんて、本当に久しぶりだ。
「もうすぐ二葉(ふたば)の誕生日だろう?」
「覚えていてくれたの!?」
あっくんの口から飛び出したセリフに、空間を押し切ってその腕を掴む。