パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを

高く持ち上げられて、海二はキャッキャとはしゃいだ。


「二葉も久しぶりだな」

「うん。来てくれて嬉しい」


何より、海二が喜ぶから。
やっぱり父親というものが恋しいのかもしれない。
何ひとつ聞いてこないけれど、小さいなりに、何か感じ取っているはずだから。

ふと、視線をあっくんの先に投げ掛けると、こちらに背を向けて立っている人影がふたつ見えた。


――嘘。
……お父さん? 
お母さん……?


呆然とする私に気づいたあっくんが、そのふたつの影に声をかけた。


「ほら、ふたりとも、何ボーっと突っ立ってんだよ」


ぎこちなく振り返ったふたりは、バツが悪そうに肩をすくめていた。


「お父さん、お母さん……」


やっと来てくれたんだ。

四年振りの再会だった。
あっくんが私を見て頷く。

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