パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを

「ほら、海二、おじいちゃんとおばあちゃんだ」


あっくんに抱かれたままふたりに引き合わせられると、海二は臆することもなく手を伸ばして抱っこをせがんだ。


「おお、そうかそうか。抱っこか」


目尻をグンと引き下げて、お父さんがあっくんから海二を抱き上げる。


……なによ、デレデレしちゃって。


すっかりおじいちゃんの顔なのが、ものすごく嬉しかった。
なんだか照れ臭くて、「来てくれてありがとう」と言うのが精一杯だった。


「子供に罪はないからな」


そう言うお父さんも、恥ずかしそうに笑った。


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