パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを

今感じた不安は、あっという間に闇に葬り去られていく。

キラキラと海に反射する太陽。
気まぐれな通り雨は、あっさりとその座を明け渡したらしい。

部長は私にとって、通り雨のような存在なのかもしれない。
いつでも“晴れ”を引き連れてくる、恵の雨。
辛いとき、悲しいときに、ふと現われては心を満たしてくれる、そんな存在。

そんなことを思った。


「ママにもやらせて?」

「うん」


頬に泥をつけた海ニが、にっこりと微笑んだ。


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