パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
④込み上げる想いは永遠に
それから一ヶ月後。
私と海二は、マスターの好意に甘えきっていたSea sideから、部長の待つ場所へやって来た。
三人で住むには手狭だと、部長が住んでいた同じマンションにある少し広い部屋へと引っ越しを完了させ、これから始まる新しい生活に幸せを感じていた。
待ち合わせをした喫茶店のドアの前で、大きく深呼吸する。
このドアの向こうに、四年ぶりの琴美が待っている。
そう思うと、緊張と嬉しさで胸が高鳴った。
「ママ、どうしたの?」
一緒に来た海二が、不安そうに私を見上げる。
「ううん、何でもないよ。じゃ、入ろうか」
腰をかがめて海二に笑いかけ、ドアを開けた。
「いらっしゃいませ。おふたり様ですか?」
店員に声を掛けられ、「待ち合わせなんです」と答える。
約束の時間を少し過ぎてしまったから、きっと琴美のほうが早く着いているはず。
店内をざっと見渡していると、窓際のテーブルで椅子を鳴らして立ち上がる琴美を見つけた。