パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
少し歯切れの悪さが気になったけれど、私のいないところで部長に会ったことに後ろめたさがあったのかもしれない。
四年間も音信不通だった私の様子を聞きたかったと言われれば、それも頷けた。
「海二くんと撮った写真をデレデレ顔で見せてくれたよ」
パパだと名乗りを上げてから、まだ一ヶ月。
それでも、海二には何か伝わるものがあるのか、一緒に砂の城を作った日には、すっかり打ち解けてしまった。
それから引っ越すまでの毎週末、Sea sideへ来ては海二との時間を作ってくれた部長。
もう立派な父親だ。
「実は、私からも二葉に報告があるの」
運ばれてきたコーヒーを脇によけ、琴美が急に改まる。
私も、飲んでいたオレンジジュースを置いて、思わず姿勢を正した。
「結婚することになったの」
「……え!? ほんとに!?」
照れ臭そうに琴美が頷く。
「誰と? 私の知ってる人?」
つい興奮してしまった。