パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
「実は……池田くんなの……」
さらに恥ずかしそうに肩をすくめて、今度は顔を真っ赤に染め上げた。
「えー! おめでとう! 琴美!」
ずっと好きだった池田くんを射止めたんだ。
私が知っている頃は、まだ片思い中だったのに。
嬉しい報告に私までウキウキしてしまった。
「結婚式、二葉も出席してくれるかな」
「もちろん!」
琴美の結婚式。
私が出ないわけにはいかない。
「もうひとつ、お願いがあるんだけど……」
琴美が上目づかいに私を見る。
「来週の日曜日に、ドレス選びに付き合ってもらえないかな」
顔の前で両手を合わせて、お願いと片目を瞑った。
「ドレスって、ウエディングドレス?」
「うん。池田くんのセンス、当てにならなくて。どれを着ても『綺麗』しか言ってくれないの」