双姫 Ⅲ
「天空!」
お父さんが天空に呼び掛ける。
「父さん、良いの…?」
「あぁ。」
なんのやり取りをしているのか
いまいちピンと来ない。
でも、天空は分かったのかニコッと笑った。
「うん!僕もそろそろこの状態は飽きた!!
ねぇ!オジサン?降ろして??」
「な、何言ってんだクソガキ!!
テメェは人質なんだよ!」
「人質…だそうだぞ?天空。」
お父さんが口元を抑え、笑っている。
「な、何笑ってやがる!?
遂にぶっ壊れやがったのか!!??」
ヤクザは更に激情し、
今にもそのナイフで首を切りそうな勢い。
そんな状況に私達は青褪め、立ち竦む。
「ねぇ、オジサン。」
そんな空気でも天空は、
「僕は飽きたって言ってるんだけどな…?」
平気そうに笑った。